アジリティ・クイックネストレーニングの要素を入れたウォーミングアップ(インナーマッスルの意識)・・基本稽古の前の導入として
今回は、※インナーマッスルを意識しながら、アジリティ・クイックネスの運動要素を強化していく導入運動です。
人間の筋肉は体の中心に近い部分から、何層にも重なって身体を覆っています。
この中で、比較的深い部分にある筋肉がインナーマッスルと呼ばれています。
「深層筋」とも呼ばれます。
姿勢を保持したり、運動の細かい動きを調整したり、日常動作、各種のスポーツには欠かせない筋肉です。
高校生・大学生の拳士諸君の少林寺拳法部活動の参考になれば!とスタートした「福家ブログ」。
今までの長年の競技経験、そして指導経験を生かしていろいろな提言をしていきたいと思います。
提言していく内容はあくまでも福家健司自身の研究報告とお考え下さい。連盟本部、全国高体連の競技力向上委員会のオフィシャルな見解ではありませんので・・ご了解ください
そして、少林寺拳法をまだご存じではない方々に、東京都高体連少林寺拳法専門部の大会や運営、そのほか学生大会の様子などを通じて少しでも理解を深めていただければ・・とも考えております。宜しくお願い致します。
インナーマッスルの意識
少林寺拳法の動きには欠かせないインナーマッスルトレーニング!
インナーマッスルを鍛えるためのキーワードは『不安定な姿勢を安定させる!』です!
安定した状況ではアウターマッスルが優先して働き、なかなかインナーマッスルを特化して鍛えることはできません・・。
そして少林寺拳法の対人的な動き・・相手の動きに早く対応して素早い反撃を行う・・を高めるためには自分のタイミングでアジリティ・クイックネスのトレーニングをするだけでは十分ではありません・・
そこで導入運動では、「不安定な姿勢を安定させる」と「相手の動きになるべく早く呼応する」をポイントにおきます。
片足バランス崩し
二人で向かい合い、片足でバランスをとりながら、相手を崩します。
この時のポイントは、軸足は動かさず、その場で崩し合うこと。
必ず右足、左足を行うことです。
小さい時に遊びでやったバランス崩し!・・これがすごく効果的なインナーマッスルトレーニングになります!
少し脱線しますが・・
昔、小さい子供たちがやっていた遊び・・例えば鬼ごっこや、木登り、家の塀を落ちないように歩いたり、缶蹴りや、刑泥(関東では泥刑?)遊び・・などはとても効果的で、集中力も高めるためのインナーマッスルトレーニングやコアトレーニングだったんです!
現代の(特に都心の)子供たちは、ある意味、かわいそうです・・。外で遊ぶ場所も限られ、他人のうちの塀にのぼって遊んでいたら、不審者扱い(笑)です。基本的な、歩く、走る、登る、跳ぶ、などの動きを経験せずに大きくなっています。 習い事でスイミングやサッカー、野球などはありますが、身体を自分の思うように操作する能力は、昔の世代より確実に低下しています。
私は、高校の体育教師を約30年続けていますが、特にそれを強く感じます。ですから、習い事で練習をしている動作はとても上手に、巧みに出来るのですが、すべての動作、運動に対する応用力が低い子ども達が非常に多いのが現状です・・・。
スポーツ先進国であるアメリカなどでは、こどものころは多くのスポーツを偏りなくさせるそうです。これは今でいう「クロストレーニング」の概念であり、それがいい意味の相乗効果で専門種目の競技力も向上させているわけです。
私たち体育教師は子ども達の、身体操作能力を総合的に高める仕掛けを作ってやらなければなりません!
・・・ということで少林寺拳法のトレーニングに戻ります!
アジリティ・クイックネストレーニングの要素を入れたウォーミングアップ
手をつないで足先の踏み合い
最初は攻守を決めて相手の足を踏みにいく方と、ひたすら逃げる方でおこないます。その時に握っている手は離してはいけません。約20秒行います。
慣れて来たら双方攻守で自由に足を上から踏み合います。約20秒
この時に注意しなければならないのは、熱くなってくると蹴り合いになってしまうので、必ず上から相手の足の甲を踏ませるように行います。
ミラードリル(サイドステップ)
相手と向かい合って立ち、攻守を決めます。まず攻撃は左右横方向を使って、自由に逃げます。それに対して、守備側はまるで自分が鏡に映っている姿のように真似をするように追いかけます。
最初は左右にサイドステップをして逃げるようにしますが、慣れてきたら、ジャンプをしたりしゃがんだり、360度ジャンプしたりします。
けっこうハードな動きなので、10秒くらいから始めます。
攻守交替して同様に行います。
ポイントは左右方向の横方向だけで行うことです。
ミラードリル(ファイティングポーズ)
相手と向かい合って立ちます。攻守を決めて攻撃側が自由に、三拍子で(イチ、ニ、サン)で左前、か右前に構えます。それに対して守備側は相手の構えと同じ構えを時間差がないように構えます(少林寺拳法の対構)。
例えば相手が左前で構えたのに対して自分が右前で構えてしまったら瞬時に左前に構えなおします!(これは勘が悪い人が練習になります(笑))
これを10回行ったら、攻守交替します。
ポイントは相手が構えた構えと違った場合にいかに早く構えなおすか!というところが最大のポイントになります。(勘がいい人・・相手が構えた構えと合ってばかりの人・・はあまりトレーニングになりません)
肩タッチ(2連攻まで)
お互いに相手の肩にタッチする。相手にタッチされず、自分が相手の肩にタッチできるようにする。
肩タッチ・膝タッチ(2連攻まで)
お互いに相手の肩・膝にタッチする。相手にタッチされず、自分が相手の肩・膝にタッチできるようにする
このトレーニングのポイントは、肩、膝に触るときに、突を出すように強く行うのではなく、横から触れるように行うことが大切です。
あと、触ってきた相手の手をブロックするのではなく、体捌きで反身、引身、振身、そして足捌きを駆使してかわして、逆にカウンターで相手を触りに行くイメージで行います!
これは運用法練習の前に行うと特に効果的です!
拳サポ拾い
まず拳サポーターなどを小さボールのようにまとめ、攻守を決まます。
攻撃側が拾う側の左右方向にその拳サポを投げます。それを守者側は床に落とすことなく、キャッチします。キャッチしたらすぐに攻者に返します。返された攻者はすぐにまた拳サポを投げます。それを10回ほど行ったら攻守交替します。
慣れてきたら、投げる距離を延ばしたり、前後方向にも投げてあげます。
ポイントとしては、身を投げ出してもけがをすることがないような床面、柔道場や柔法マットなどの上で行うと安全にできます。これは遊びながら敏捷性や集中力を高める練習になります。
編集後記
本年も「福家ブログ」宜しくお願い致します。
うちの部活では、年の初めより、各学校との合同稽古を重ねております。
その合同稽古で感じたことですが・・そのまえに・・わたしはいろいろな武道や、スポーツを経験してきました。ちなみに・・スキー正指導員、柔道三段、剣道二段、相撲初段(相撲にも段があるんですよ!)、そして少林寺拳法七段です。(なんだ!自慢か?・・ではなく、いろいろと経験をしてきてという前振りです!)
そんな中で、ほかのスポーツ、武道と比べてとても少林寺拳法はすごい!と思うことは、少林寺拳法の基本的な考え方の一つでもある「自他共楽」が日々の稽古の中に生きているということです!
合掌礼ひとつでまさに同志!ライバル校であっても、お互いに上手くなろう!強くなろう!とする考え方が練習の中にも浸透しています。どの学校と合同稽古しても、違う学校の拳士同士が注意をしあったり、指導し合ったりする姿が当たり前のように見られます。そしてその考え方が浸透している学校ほど競技成績も残しています。
高校拳士には、ただ単に、競技成績を残すのが目的ではなく、その上を目指す稽古の過程で得られる自身や誇りをこれからの人生に生かしてもらいたいと思います。
これからも長い競技経験を活かし、いろいろな提言をしていきたいと思います。これからも全国高体連少林寺拳法専門部、および東京都高体連少林寺拳法専門部を宜しくお願い致します。